機動戦艦ナデシコ
Digital Fairy Tales
〜in "The blank of 3years”〜
作：たのじ
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第九話 決戦！ナデシコｉｎ『火星極冠』遺跡（後編）
＜２１９９年３月某日 晴れ＞
遺跡が”発動”したその日は、たった一日の間に山ほど色々な事が起こった。
……大きな事、小さな事、その他諸々。
地球側暴走グループに加えて木連忍者部隊の襲撃を受けて、僕は一瞬諦めの思いに捕らわれかけた。だけど、それを振り払うように捨て鉢な特攻をかけようとしたその時、今はもう存在しないはずの戦艦、機動戦艦ナデシコが僕たちの目の前に現れた。
その白い巨体が火星の赤い大地に降臨したその姿は、まさに僕たちの守り神のように見えた。そして僕たちは守り神の加護の下、敵を全て打ち払い……、その後”彼ら”が現れた。
僕にとっての出会いと再会、そして別れを連れて。
ヤマモト・カイト
――五分前。
「ユリカさん、極冠遺跡上空に到達しました。下は何だかどんぱちの真っ最中みたいです」
ルリの報告が上がってくる。報告と共に開いたウィンドウには、現在極冠遺跡上空に展開されている彼我の戦力が表示されている。
「ぐっどたいみんぐ！ ってところかなぁ？ ルリちゃん、アキトは、それにみんなは無事？」
「はい。リョーコさんの機体が中破しているだけで、全員無事です」
報告の通り、リョーコの機体を表すシンボルは中破を示す点滅を繰り返している。しかし、その他のシンボルは一つも欠けることなく、全員健在を表している。
「艦長、通信圏内ですけど、回線、開きますか？」
通信士席からメグミも顔を上げる。一刻も早く救援を告げて仲間達を安心させたいのだろうか、指は既にスイッチにかかっている。
「んー……、メグミちゃん、もうちょっと待ってね。オープン回線の準備はしておいて」
「それじゃ艦長、そろそろ下に降りるの？」
「はい！ エリナさん、降下の準備、お願いします！ ルリちゃん、グラビティブラスト、いつでも撃てるようにしておいて！」
「了解」
「はい。……相転移エンジン異常なし、エネルギーチャージ完了。火器管制システムオールグリーン、全兵装ロック解除。グラビティブラスト、いつでも行けます」
エリナの指がコンソールの上を走って大気圏への降下準備を整え、ルリが艦を縛る鎖を残らず取り除いていく。この艦は、今この時火星上で最強の存在となったのだ。
「それでは行きます！ 機動戦艦ナデシコＡ２ｎｄ、急速降下！」
ユリカの号令一閃、白い巨体が、大気を切り裂き眼下の戦場へとその身を躍らせた。
レーダーを監視していたルリが、緊張した声を上げる。
「ユリカさん、皆さん囲まれちゃいました。そろそろ本格的に危ないです」
「……じゃあ、そろそろ助けに入りましょう！ 白馬の王子様じゃなくて、白い戦艦に乗ったお姫様達だけどね！」
「うふふっ、おもしろい例えね」
「それじゃあ、通信回線、オープンで開きます！」
ユリカの言葉にエリナが思わず、といった笑みを漏らす。そしてメグミが待ちかねていたという様子でコンソールに指を走らせる。
『……っくしょう！……』
開いた回線の向こうから、誰かの切羽詰まった声が聞こえてくる。誰の声かの判別も難しかったが、その場の四人の内の二人は、その声の主が誰かを理解した。
「この声……、カイト君？」
そしてユリカがそう呟いた次の瞬間には、ルリが回線に向かって呼びかけていた。
「お手伝いは、いりますか？ カイトさん？」
その姿に”先を越された！”とばかりにメグミが続いて呼びかける。
「それならば♪」
見ている者もいないというのにポーズまで取っている所を見ると、声優の血が騒いでいるらしい。
「私達に」
更にエリナまでそれに付き合っている。今回のプロジェクトから仲間外れにされて、彼女も不満が溜まっていたのだろうか？
「おっまかせー！」
それでもやはり、最後を締めたのはユリカの一声だった。
『ユリカ！？』
『やっほー、アーキートー！ ナデシコＡ２ｎｄただいま参上！ みんなも、今助けるからねー！ ルリちゃん、グラビティブラスト、広角射撃ぃ！ 当てちゃってもいいからねー！』
『はい、グラビティブラスト、発射』
そして、アキト達のエステバリスを押し包むようにじりじりと接近していたジン・タイプの集団の上に、グラビティブラストの漆黒の雨が降り注いだ。
広角射撃だったので収束が甘く、ジン・タイプのディストーションフィールドで難なく防がれてしまっていたが、威嚇としてはてきめんに効果を発揮し、その場の部隊に動きが全て停止した。
そして、グラビティブラストで散らされた雲の隙間から、ナデシコが堂々とその姿を現した。太陽を背に悠々と降下してくるその姿は、地球と木連の戦争をたった一隻で終結させた艦の名に恥じない風格すら感じさせる。
敵も味方も、その失われたはずの優雅な白い船体に見惚れているかのごとく、戦いを停止していた。
『みなさーん！ すぐにこのまま喧嘩を止めないとぉ、きっつーいお仕置きですよー♪』
そしてナデシコから、この場に全く似つかわしくない、浮かれたようなユリカの声が辺りに響きわたる。
「ユリカさん、はしゃぎすぎです」
「ルリちゃんも無理しなくていーんだよ？みんなのこと、心配だったんでしょ？」
「ま、でなきゃこんな所には居ないでしょうしね？」
『ルリちゃんは、”みんな”じゃなくて”誰かさん”が心配だっただけかもしれないけどね？」
呆れたようにユリカに意見するルリだったが、あっさりユリカに迎撃され、エリナとメグミに怯んだ所を追い打ちされて黙り込んでしまった。むくれたように俯いたその頬が、微かに紅潮しているように見えるところが微笑ましい。
『ユリカ！ なんでここに！？ 大体なんでナデシコがあるんだ！？』
そこに開きっぱなしの回線から、アキトの声が響いた。メグミが素早く操作してコミュニケのウィンドウを開くと、驚愕した表情のアキトがこちらを見ている。
「もう、何言ってるのよ！ アキトを助けに来たに決まってるじゃない！ それとぉ、ナデシコのことはアカツキさんが知ってるよ」
『アカツキさん？』
『やぁ、艦長、エリナ君。どうやら間に合ってくれたみたいだねぇ』
タイミングを計ったように、実際計っていたのだろう、アカツキが割り込んでくる。
「ええ、無理して急がせたせいで火星に来たところで相転移エンジンが一時停止しちゃったけどね。ちょっと送れたけど、結果オーライよね」
『もうばっちり。おかげで命拾いしたよ。……さて、みんなに紹介しておこうか。これはネルガルが極秘に建造していたナデシコ級の実験戦艦さ』
説明しながら、トレーラーバリスのコックピットで自慢げに髪を掻き上げるアカツキ。
『とは言ったものの、実際は新造した訳じゃあない。みんな、以前、月のドックで大破したナデシコ級の四番艦”シャクヤク”、あれ、覚えてるかい？』
『岩に押し潰されちゃったのだよね？』
アカツキの突然の質問にヒカルが答える。
『それが、どうしたってんだよ？』
ぼろぼろのエステバリスからリョーコが尋ねる。
『うん、実はあれ、艦の前半部とブリッジ部分は潰れちゃったけど、後半部と相転移エンジンは無事だったんだ。だから、次世代型戦艦のための実験目的に、壊れたところを作り替えてナデシコのブリッジを接続して、でっち上げたってわけさ』
全員声もなくアカツキの説明を聞いている。呆れているのか感心しているのかは定かではないが、とりあえずアカツキはその反応に満足したようだ。
『……でも、それじゃなんで”ナデシコＡ２ｎｄ”なんですか？ 艦名は”シャクヤク”なんじゃ？』
その状態から最初に立ち直ったのは、ナデシコという艦自体にはそれほどの愛着を持っていないカイトだった。ウィンドウが開き、ナデシコＡ２ｎｄのブリッジ越しに会話が始まる。
『ああ、確かに艦名は”シャクヤク改”だったはずなんだけど。……エリナ君？』
「……艦長が命名したのよ。それじゃ味気ないって」
「そのとーりです！ 第一、アカツキさんだってこっちの方がいいでしょう？」
『……なるほど』
苦笑しながらアカツキが頷く。和んでしまったナデシコＡ２ｎｄのブリッジとナデシコのエステバリス部隊だったが、そこにメグミが何か気づいたようにコンソールに向かう。
「艦長、盛り上がっているところですけど、敵の皆さんから通信が入ってきましたよ」
「え？ ほいほーい、メグちゃん、こっちに回して」
ユリカが振り向くと、アキト達のウィンドウは閉じ、代わって開いたウィンドウには木連の忍者の姿があった。仮面に隠れて表情はわからないが、肩を震わせている様子から怒っているのは間違いないだろう。
『……貴様ら！ どーゆーつもりだ！ 火星大気圏内での宇宙戦艦の使用は、木連・地球両陣営ともに禁止されておるんだぞっ！！』
次いで開いたウィンドウには、地球側の暴走グループの姿が映っている。
『卑劣なっ！ 貴様らはそうまでして遺跡の秘密を独占したいのかっ！！』
どちらも頭から湯気を吹き出しそうな勢いで怒鳴っている。その様子を、ルリとメグミは冷めた視線で見つめていた。
「皆さん、自分のことは棚に上げて言いたい放題。おまけに頭に血が上って論旨がめちゃくちゃですね」
「言えてる。宇宙船使わなきゃ、何してもいいとでも思ってるのかしら？」
「えーと、そう言われましてもぉ……」
相手の頭に上った血を更に沸騰させそうなことを言うルリとメグミのセリフをとりあえず無視して、ユリカは暴走組の指揮官らしき人物達に説明を始めた。
……だがその内容は、詭弁としか言い様のない物であったが。
「この艦はですねぇ、地球連合の所属ではなく、あくまでネルガルの所有物なんです。民間船には地球と木連の間で決まった取り決めに従う必要なんてありませんから、別に私達がこの艦に乗ってここにいてもなーんにも問題はないんです！」
”にっこり”としか形容しようのない笑みを浮かべるユリカに、ウィンドウの向こうの者達は唖然とした様子を隠しきれなかった。
それは敵だけではなく、味方も同じだったようだ。
『アカツキさん……？』
『……なんだい、カイト君？』
『これ考えたの、アカツキさんですか？』
『……いや、適当に理由をでっち上げておいてくれとエリナ君に頼んでおいたんだけど……。まさかこれほどあざといことをするとはねぇ』
そしてユリカは、ナデシコＡ２ｎｄのブリッジから再び宣言した。
「と、言うわけで！ 今すぐ戦闘を止めない場合は、このナデシコＡ２ｎｄが直接介入します！ 直ちに戦闘を中止して、撤退するなり投降するなりして下さい！」
『……』
『ふざけるなぁっ！』
だが、それに対する反応の一つは明らかな反発だった。地球側のグループは、自分たちの戦力がナデシコＡ２ｎｄに及ばないことを自覚したのか矛をおさめかける。
しかし、木連忍者部隊の指揮官は、地球側暴走グループ同様動きを止めた部下達を省みることなく、ナデシコへ向かって突き進んでいく。
『おのれ怨敵ナデシコめ！ 先の戦争では奇計を弄し、今また詭弁を弄して”都市”の秘密を独占する腹か！ だが今回はそうはいかん！ ここで貴様を沈めてくれる！』
『そうはさせるかっ！』
一瞬出遅れたアキト達がその後を追う。ジンとエステバリスの機動力から考えれば多少の出遅れは問題にならないはずだった、が。
そのダイマジンは追いつかれるその前に光に包まれた。
『跳躍！』
ナデシコの一同は息をのんだ。このダイマジンも、前回のダイマジンと同じようにボソンジャンプのずれに捕らわれるのか、と。
しかし、ダイマジンは幸運にも――ナデシコにとっては不幸にも――ジャンプを見事成功させて、上空の高処にあるナデシコの更に上、ブリッジ直上に出現した。
「エリナさん、回避！」
「やってるわよ！」
ユリカの緊張した声がエリナに飛び、それに答えたエリナは必死の形相でコンソールに指を走らせる。一撃喰らった程度で沈むナデシコではないが、さすがにブリッジ直撃では話は別だ。
「……きます。ディストーションフィールド、出力全開」
『喰らえナデシコ！ ゲキガン・パァァァ〜ンチ！！』
ルリが静かな声で言うと同時に、ダイマジンの一撃がブリッジに向けて放たれた。フィールドに弾かれることなく走るその一撃は、ナデシコＡ２ｎｄのブリッジに真っ直ぐ突き刺さるかに見えた。
対空銃座で落とせるレベルの物ではなく、直衛にあたるはずのエステバリス隊もまだ遠い。いわゆる絶体絶命の一撃、である。
だが、その一撃は、ナデシコＡ２ｎｄに突き刺さる一歩手前で、レールガンの一撃に叩き落とされた。
「……あれ？」
「カイトさん！」
衝撃を予想して思わず身構えたユリカの耳に、ルリの歓喜の声が聞こえた。そしてスクリーンの中には、アキト達のように出遅れることなく、ボソンジャンプしたダイマジンの出現位置を正確に予測し、回り込んでいたカイトの月面フレームの姿があった。
『……好き勝手するのはここまでだ！』
言うが早いか、弾切れのレールガンを捨てたカイトは月面フレームを駆り、ダイマジンへと接近していく。
『地球の人型兵器め！ 消えろ！』
そしてダイマジンは、今度は胴体前面からつい先程リョーコの機体を中破させた小型ミサイルの弾幕を張る。どうやら背面部だけではなく、あらゆるスペースにミサイルを詰め込んでいるらしい。
その場の者の目には、カイトの月面フレームはその中に真っ直ぐ突っ込んでいくように映った。
しかし、ミサイルが着弾する、その直前にカイトは回避行動に移り、弾幕を辛くも回避する。そして、彼はそのまま離脱しようとせずに、再びダイマジンに攻撃をかける。
それに応じて、三度小型ミサイルで迎え撃つダイマジン。
「カイトさん！？」
「カイト君！」
「ルリちゃん、援護！」
「……、はい！」
一度は悲鳴に限りなく近い叫びを上げたルリだったが、ユリカの叱咤に自分を取り戻し、援護射撃を加える。その射撃で小型ミサイルの半分は誘爆を起こしたが、残り半分は、正確にカイトの機体めがけて宙を飛んでいった。
カイトは、エステバリスのコクピットで自分に苛立っていた。リョーコ機を中破させ、今またナデシコに襲いかかろうとしたダイマジンに対して、近づくことすら出来ずにいる自分に対して、何故か苛立っていた。
近づこうとする度にこれだけの分厚い弾幕を張られてはどうすることもできない、と理解してはいるのだが、同時に、この位の弾幕はかわせるはずだ、という声が心のどこかから聞こえてくる。
ナデシコからの援護射撃によって、弾幕は僅かとは言え薄くなっているはずなのに、ある程度以上近づくことは出来ない、それが無闇に歯痒かった。
「くそぅ……、この程度の相手に……」
何と比較して”この程度”なのか、それすらわからずにカイトは呟いていた。そしてまた、今度こそダイマジンに一撃を加えるために、カイトはスラスターを噴かそうとした。
――その時。
いつか感じた感覚がやってきた。エステバリスを通して自分の知覚が拡大する感覚。
自分の周囲の全てを見ているような、見ていないような、焦点があっていないにも関わらず、スクリーンに表示されている全ての情報が頭の中に入り込んでくる感覚。
『カイトさん、一旦下がって下さい！』
メグミの声が聞こえてくるが、その声は彼の意識を刺激しない。彼の意識は、ダイマジンと、それが繰り返し彼に向けて吐き出す弾幕に向けられている。
『カイトさん、お願いですから下がって下さい。……このままじゃ、いずれ貴方でもかわしきれなくなります！』
今度はルリの声が聞こえてくる。その声は、確かにカイトの注意を引いた。だが、それは声の主が意図した物とは違う意味で。
「ルリちゃん……」
『ルリちゃん……。次のダイマジンの射撃に合わせて、援護して』
「何言ってるんですか、カイトさん。一旦下がるようにって……」
熱くなってしまったのであろうカイトを制止しようとしたルリの言葉は、彼の目を見たとたんに消えてしまった。反論を許さない迫力を秘めた、冷たい瞳。
そこにいたのは熱くなって我を失ったカイトではなく、冷静さではナデシコで一番といわれたルリよりも状況を冷静に判断しているカイトだった。氷で出来た機械のような今のカイトの迫力に、ルリは気圧されてしまう。
『援護、頼んだよ。……これで終わりにする』
「は、はい……」
そして、ウィンドウの中のカイトは意識を完全にルリから離してダイマジンに向ける。
「（カイトさん……）」
ルリは、ＩＦＳを通して、ナデシコの全ての対空銃座にカイトの援護を指示した。
広がった知覚を通して戦場を”見ながら”、カイトはダイマジンに向けて突き進んだ。カイトの知覚の中では、一瞬一瞬が切り取った絵のように把握できた。
『ちょこまかと……！ 喰らえ、ゲキガン・ビィィィーム！』
ダイマジンから放たれた小型グラビティブラストを、カイトは余裕を持って回避する。
『そこだ！ 墜ちろ！ カトンボ！！』
だが、敵の狙いはまさにその瞬間だった。ダイマジンが小型ミサイルの弾幕を張る。それも、全身のありとあらゆる場所のミサイル発射口を開いた、必殺を期した一斉発射である。
「ルリちゃん！」
カイトはナデシコへと呼びかける。
『はい！』
ナデシコからの援護射撃が弾幕の一部を叩き落とすが、それはまだ僅かな綻びを見せただけで充分な厚みを持っている。
そしてカイトは、その弾幕の一部に出来た綻びを目指した。エステバリス一機が通り抜けられるかどうかという、その綻びを。
普通ならば気違い沙汰と言われる行動だったが、カイトにはそれは十分に可能な行動だと”感じ”られた。そして、そのまま本当に僅かな隙間をくぐり抜けたカイトは、ダイマジンに肉迫し、
『貫け！』
『な、なにぃ！？』
開放されたままの胴体前面のミサイル発射口に、イミディエットナイフを突き立てた。
胴体中央にイミディエットナイフを突き立てられたダイマジンは、煙と火花を吹き出しながら火星の大地に落ちていく。爆発こそしないものの、相転移炉に異常をきたしたらしく、もはや行動不能のようだった。
やがて大地に激突して四散する直前に頭部コックピットが離脱し、事態を静観していた別のダイマジンに回収される。そして、落ちたダイマジンを追うように、カイトの月面フレームがゆっくりと降下してくる。
敵も味方も、今し方目の前で行われた常識の範囲を逸脱した戦闘に気をのまれ、動きを止めていた。
「はふ……」
状況はナデシコのブリッジの中も同様であり、それを解いたのは、ルリが漏らした万感の思いを込めたため息と、通信機のコールだった。
「あ、艦長、イネスさんから通信……」
「……え？ じゃあメグちゃん、こっちに回して」
「……いえ！ 強制的に通信に介入してきました！ 全回線、オープンされます！」
同時に、遺跡周辺の全てのコミュニケのウィンドウが、コミュニケがない木連の機体では通常回線が強制的に開かれ、イネスの顔が映し出された。
『はいはい、茶番はそこまで！」
「……何やってるのよ、あの人は？」
そのエリナの目の前のウィンドウにもイネスの顔が映っている。ぱんぱん、と、生徒の注目を集める教師のような仕草で手を叩き、イネスは続けた。
ちなみに、この程度のことには慣れっこになっているナデシコのクルーはともかく、その場にいたほかの兵士達は、暴走グループも含めて、イネスの唐突な登場とその場の空気を無視した態度に呆気にとられていた。
『いいですか、これから、太陽系規模の歴史的事件が起こります。それこそ地球だ、木連だ、火星だなんて言ってるのが恥ずかしくなるくらいの大事件がね。私が過去の自分からもらったプレートには、今日これからこのことが起こることを私達人類に伝えるメッセージがこめられていたの。だから、くだらない忍者ごっこや戦争ごっこは止めて、こちらに注目！』
そしてコミュニケのウィンドウが、極彩色の画面に切り替わった。次いで、場違いなファンファーレの音が聞こえてくる。
”イネス先生のなぜなにナデシコ・特別編”
……ナデシコのクルーと除く、その場の全員が今度こそ完全に動きを止めた。どうやら呆れて口も利けなくなったらしい。
『古代火星文明……。今まで私達はこの遺跡をそう呼んできたけど、それでは古代火星人とはいかなる生物だったのか、プロスさん、あなたはどのくらい知ってるの？』
『そうですなぁ……』
突然の指名に、プロスは顎に手を当てて考える。
『ちなみに今回はバカうさぎもガキおねーさんもいないから、貴方達に頑張ってもらうわよ』
「ガキおねーさん……？」
ルリが少々険悪な反応を見せたが、イネスは無視を決め込んだらしい。もう一人は、気にとめた様子もなくあっけらかんとしている。
……本人が認識していない可能性もかなり高いが。
それから、イネスは蕩々と流れるように説明を始めた。古代火星文明の遺跡その他の出土品から、古代火星人達が太陽系で進化した生命体ではなく、他の場所からやってきた者であるらしいこと。
火星と木星の遺跡の年代を考えると、彼らは太陽系外からまず木星に飛来し、それから火星にやってきたらしいこと。
『それじゃあ、古代火星人達は、どっかべつの太陽系から、ボソンジャンプで木星にやってきたって言うのかよ？』
セイヤがふと疑問を口にする。
『というわけにも行かないのよ……。ボソンジャンプはチューリップからチューリップに向かって行うか、ジャンプをコントロールしている者がイメージしている場所にしか行くことが出来ない。>この時イメージングが曖昧だと、ナデシコみたいに火星から地球まで八ヶ月もかかったり、アキト君みたいに二週間前に出ちゃったりする訳ね』
『あっちゃー、それでか……』
アキトが何事か呟いた。過去の失敗を思い出しているのだろう。
『……だから彼らは、まず目的地に向けて亜光速で進む無人艦隊を送り出し、資源のある惑星に辿り着いたところで工場を建設し、居住可能な惑星に、都市と大規模なボソンジャンプの制御装置を作り上げてから移住を行う……というわけ』
『だけどそりゃずいぶん気の長い話だねぇ……』
セイヤがまた呟いた。当然の感想だろう、亜光速の無人艦隊とは言え、恒星系から恒星系を渡ることには非常に長い時間がかかる。
この方法では、無人艦隊が目的を達するまでに何百年かかるかわからないのだから。
『非常にいーい疑問だわね、ウリバタケ君。でも、彼らはここでボソンジャンプの特性を利用しているのよ。ボソンジャンプは空間移動であると同時に時間移動……。目的地の準備が整うまでの時間を予測して、未来に向かってジャンプすれば、本人達は一切年をとらずに目的地に到達できるのよ』
イネスの説明は続く。だがそこで、話を聞き飽きたらしいユリカが割り込んだ。
「イネスさーん！ 本題はまだですか〜？ 大事件って、いつ起こるの〜？」
『……あいっ変わらず鈍い娘ねー。じゃ、あなたに聞くけど、これだけ高度な文明を築き上げた彼らが、どうして今じゃ幾つかの遺跡を残しただけで影も形もなくなってるの？』
説明の邪魔をされたイネスは剣呑な目つきでユリカに質問した。ユリカは真剣な、と言うには緊張感のない顔で考え始める。
「え、えーと、えーと……。どっかにいなくなっちゃったから！」
「艦長〜」
「それじゃ、そのまんまでしょうが……」
そして導き出された回答に脱力するメグミとエリナだったが、質問者のイネスだけは呆れたような表情で手を叩いた。
『はい、正解。相変わらずおバカな癖に妙に冴えてるわね、艦長』
「えぇ？」
「あぁ、そっか。また同じようにジャンプして別の星系に行っちゃったんだ」
ミナトが、得心がいったように呟いた。
『そう、プレートのメッセージによると、私達の太陽系は、彼らの本来の目的地に向かうための休憩所のような物だったの。そして彼らは、また次の休憩所に向かって無人艦隊を送り出し、準備が出来た頃合いを見計らって、未来に向かってボソンジャンプしたのよ。そのジャンプした日、いえ、する日が、今日……』
イネスは、言葉と共に頭上を振り仰ぎ、小さな笑みを浮かべた。その仕草につられるように、全員が雲一つない火星の空を見上げた。
その彼らの視線の先で、空が、開いた。
それはまさに、”空が開く”としか表現の仕様のない現象だった。晴れ渡った空に突然ぽっかりと、一切の光を吸収するブラックホールのような、漆黒の穴が開いたのだ。
周囲に相当なストレスをかけているのだろうか、”穴”の周囲の空間は、”穴”を塞ごうとするかのように歪み、その余波が放電現象を起こしていた。その光景は、地球側の先の戦争の体験者と、木連の人間達にあるものを思い起こさせた。
それは、”チューリップ”が開き、ボソンジャンプが行われたときの光景とそっくりだったのだ。もっとも、その規模は桁外れだが。
”チューリップ”はせいぜい直径百メートルが良いところだが、この”穴”はどう見ても直径数キロ、いや数十キロはある。
『凄い……』
カイトが芸のない感想を呟いた。目の前の馬鹿馬鹿しいほどに壮大な光景が、元からそう豊かではない表現能力を根こそぎ奪ってしまったのだろう。
だが、それは彼に限ったことではなく、イネスを除いた者達は、皆一様に呆けた表情でその光景を見つめていた。
「……何か……、見えるよ？」
「ありゃあ……」
「宇宙船？」
やがて、漆黒の”穴”に変化が現れた。目敏くそれに気づいたユキナの声に反応して、隣りに立っていたセイヤとミナトが”穴”を改めて注視する。
”穴”の向こうにぼんやりと見えたその陰は、やがて輪郭をはっきりと映しだした。円盤形に見えるその物体は、遙か昔の表現を借りれば、いわゆるＵＦＯと呼ばれる類のものだった。
それも一つではない、小さいものでも直径百メートル以上、大きいものなら数キロに及ぶ巨大な円盤が、漆黒の”穴”を通ってやって来るのだ。
「あれこそ、古代火星人達の、まあ、言ってみれば移民船団ね。大ボソンジャンプで過去からここに飛び、そしてまた再び大ボソンジャンプを行って別の太陽系へと去っていくのよ」
古代火星人の船団は次々と”穴”を通ってやって来る。その”穴”の向こうには、いつの間にか赤い星の姿が映っていた。おそらく、あれは古代の火星なのだろう。
やがて、後続の船がいなくなると、”穴”は消えようとせず、再び漆黒のものへと姿を変えた。空を埋め尽くす円盤の群、その圧倒的な光景は、見る者の心に畏怖すら呼び起こさせる。
元より並の神経の持ち主など一人もおらず、一流の―――性格はともかく、腕は一流の―――科学者であるイネスを完全に信頼しているナデシコのクルー達は、圧倒されつつも冷静にその光景を眺めていた。
「……そろそろ、何かアクションがあっても良いはずなんだけど……？」
だが、ナデシコのクルー達以外はそうもいかなかったらしい。あまりの出来事に正常な判断力を失い、恐怖のあまりにそれらに武器を向けようとする者は多かった。
そして緊張が頂点に達し、恐怖に駆られた者達が今度は古代火星人相手に暴走しかけたとき、一つの円盤から、空間に女性の―――イツキ・カザマの巨大な立体映像が映し出された。
”皆さん、落ち着いて下さい……。彼らは皆さんに危害を加えるつもりはありません。……私は、地球連合軍第１０３独立部隊所属艦ナデシコの元戦闘パイロット、イツキ・カザマです”
『カザマさん！？』
『……あの新入り！』
『何でぇ？ どーしてあの娘がここにいるの！？』
カイトは、未だ思い出せないながらも、自分にとって関わりが深いはずの人物の登場に驚きの声を上げた。
しかし、リョーコやヒカル達の驚きはまた別のものだった。イツキは、彼女たちの目の前で死んだはずなのだから。
イツキの映像は、呆然とする彼らに向けて、静かに語りはじめた。
”……私は、戦闘中に木連の機動兵器の時空跳躍に巻き込まれ、そのまま時空の狭間に捕らわれ、彷徨っているところを、彼ら異星人に救われました”
”その際、この時代に向けての時空跳躍を行おうとしていた彼らは、私達人類が彼らの装置を使って不完全な時空跳躍を繰り返し、小規模なタイムパラドックスを引き起こしては時空連続体にダメージを与えていることを知り、我々への注意と、自分たちの接近を知らせるための、我々へのメッセージを送りました”
そこまで言うと、彼女は視線をある方向へ、イネスがいる方向へと向けた。
”……もっとも確実な方法として、私と同様に時空跳躍に巻き込まれた少女にメッセージを記録したプレートを託したのですが……”
”今までの様子では、上手くいかなかったようですね……。ともあれ、彼らはこれからすぐに別の星系へと去っていきます。彼らが去った後、残った装置は我々の自由にして構わないとのことです。ですが、警告があります。
『今回の大跳躍の前後数年は、その影響で跳躍に誤差が生じるのに注意するように』
……とのことです”
イツキの口調は淡々としたものだった、が、その内容は―――ナデシコのクルー達にとっては特に―――重大なものだった。
「この間からのジャンプのずれは、それが原因だったのね……」
「前後数年って……。今頃そんなこと言わないで欲しいわね……」
呆れたように、どこかほっとしたようにエリナは言った。
だが、イネスの口調はどこか悔しげだった。ジャンプのずれの原因を自分で突き止めることが出来なかったことが悔しかったのかも知れない。
「よかったぁ〜！ 俺達のせいじゃなくて、ほんっと〜によかったぁ〜！」
「……これで賠償金の必要はありませんな。やれやれ」
対してセイヤとプロスのリアクションは非常にわかりやすかった。イツキの言葉に胸をなで下ろすナデシコのクルー達、そして突然告げられた事態を理解しようと反芻するその他の者達、それぞれの反応を示す彼らの目の前で、空に開いたままの”穴”が、また変化を見せた。
今度は古代の火星ではなく、緑の草のような物に覆われた、どこかの星の大草原のような景色が見える。古代火星人達の宇宙船は、一隻、また一隻とその光景に向かってジャンプしていく。
そして、最後の一隻がジャンプにはいる前に、イツキの映像は語った。
”……彼らの最後の忠告です。制御装置は、未来に向かって使用することは構いませんが、過去にさかのぼる方向には使用しないこと。それから、今回開けた跳躍門は、銀河系内に存在する他の全ての門に向かって跳躍可能ですが、銀河系内に存在する数百を越える知的生命体の中には粗暴な者も多いので、接触には細心の注意を払うこと……、だそうです”
『……ぜ、全銀河に……』
『数百、だとぉ……？』
『……ひょえ〜……』
彼女は何でもないことを語るようにさらりと語ったが、そこに含まれた事の重大さに、木連の忍者部隊も、地球の暴走グループも、そして滅多なことでは動じないユリカでさえも、そんな反応を返すことしかできなかった。
『細心の注意を計ること……って、君なぁ……』
『向こうから来ちゃったらどーするんだよ、おい！？』
三郎太もアキトもそれは同様のようだった。だが、アカツキだけは柄にもなく興奮した様子でエリナに語りかけていた。
『いきなり銀河市民の仲間入り、か。こりゃ確かに内輪で戦争なんかしている場合じゃないな……。エリナ君！至急重役会議の招集して！人類の夜明けだ、夜明け！』
『はいはい……』
そして、イツキが語り終えたのを見計らったように、最後の宇宙船が”穴”の向こうへとジャンプしていく。イツキの映像が薄れて消えると、最後の瞬間に、一機のダイマジンが現れた。どうやら、以前ジャンプに失敗して無限ループに捕らわれた忍者部隊のダイマジンらしい。
状況が理解できないのか、当たりを戸惑ったように見回している。
”……彼らの助けはこれで最後です。以後注意するように、とのことです”
イツキの声だけが最後にそう語り、空の”穴”が消滅した。
同時に、地上のイネス達の側に、人の形をした光が現れた。
「えっ、なになに！？」
ユキナ達は驚いて後ずさってしまったが、イネスは平然とした様子でその光を見つめた。やがて光は徐々にはっきりとした輪郭を持ったものになり、白い光があたたかい色を持ち……。
イツキ・カザマの姿がそこにあった。
「……お帰りなさい、イツキさん」
「お久しぶり、ですね」
イネスの柔らかい微笑みに、イツキはやはり柔らかい微笑みで応えた。
極冠遺跡を巡る攻防戦は、古代火星人達の出現によりその目的を見失い、自然と終結した。木連の忍者部隊も地球の暴走グループも、長居は無用とばかりに引き上げていく。
ナデシコは、その後を追わなかった。
それは彼らの仕事ではなかったし、第一彼らには、それ以上に大切なことがあったのである。
一時とはいえ、仲間だったイツキを出迎えるために、ナデシコは遺跡の側に着陸しつつあった。イツキはそのナデシコを、懐かしいものを見るような表情で眺めていた。
時空の狭間を漂っていたという彼女の時間は行方不明になった時点で止まっているはずだが、主観的な時間はそうもいかなかったのだろう。
そこに、コミュニケのウィンドウが開いてリョーコ達の顔を映す。
『ばっきゃろー！新入り！ 生きてたんならもっと早くに連絡しねーか！』
『おめでとー！ 帰ってこれてよかったね！』
『めでたい、めでたい……』
「皆さん……。ありがとうございます！」
顔を合わせるのが待ちきれなかったのか、リョーコ達は口々に彼女の帰還を祝福した。イツキも、それに目を潤ませながら微笑んで応えた。
そして地上で待つ彼らの目の前に、ナデシコと、エステバリス部隊が降りてくる。各機のコクピットが開き、リョーコ達やアキト、アカツキと三郎太、そしてジュンが降りてくる。
イツキは彼女たちの少し手荒な歓迎を嬉しそうに甘んじて受けていたが、最後に降りてきたカイトの姿を認めると、その歓迎の環をするりと抜け出して、小走りにカイトの側へと走り寄った。
「お？ どーした、新入り……？」
「あ！ そっか……」
リョーコはイツキの行動を理解できなかったようだが、ヒカルはいち早くその意味に気づいたようだった。気づいていた人間は彼だけではなかった。
アカツキ、ミナト、セイヤなど、経験豊富な人間はヒカルと同様に気づいていた。
「ふむ。互いに死んだと思っていた二人の再会、か。カイト君に記憶がないとはいえ、イツキ君はどう出るのかな？」
「でも、あの二人の関係って、いったい何だったのかしら？」
「……あの娘の今の顔見りゃ、ミナトさんならわかるだろ？」
「あらま……ほんとだ」
カイトの前に立つイツキの表情、目を潤ませ、頬を染めたその顔は、ミナトにとってはわかりやすすぎるくらいにわかりやすい表情だった。
「……ルリルリもこれから大変そうね」
一方、カイトは目の前に立つイツキをどうしたらいいかわからず、有り体に言うと、狼狽えていた。彼にとっては、女性に泣かれる、しかもこんな複雑な表情をした泣かれ方をしたのは初めてなのである。
イツキの表情は、怒っているようで、笑っているようで、悲しそうで、嬉しそうで、とにかく様々な感情がごたまぜになっているようだった。
「え、えーと……」
「ヤマモト君……。こうやって顔を合わせるのは、あの時の火星以来よね……」
間抜けなことを口にしようとしたカイトを遮るように、イツキは感に堪えないといった様子で口を開いた。
「あの、カザマさん？ 実はですね、僕は、記憶が……」
そのイツキの様子にますますカイトは平静を失い、馬鹿丁寧な口調でイツキに語りかける。
「いいのよ……。知ってるわ……。ううん、わかってるから……」
ふるふるとイツキは首を横に振る。目からは今にも涙が溢れそうだった。
そして。
「だから……。今は黙っていて……」
「え！？」
ふわり、とイツキはカイトに抱きついた。そして、カイトの胸に顔を埋めて、声を漏らさずにただ涙を流していた。
……カイトは、そのイツキをどうすることも出来ずに、置き所のない両手をうろうろとさせつつ、ただ立ち尽くしていた。周りの興味深げな視線、そして、誰からとも知れない突き刺さるような視線を気にしつつ。
「あややー……。カイト君、やるぅ」
「ほんとねぇ……」
「イツキさん、嬉しそう……」
「……」
丁度その時、ナデシコに乗っていたユリカ達が地上に降りてきていた。ユリカ、エリナ、メグミの三人は、その感動的（？）な光景を、目を輝かせながら見つめていた。
そしてただ一人、ルリはその光景を、睨み付けるように、怒ったような、悲しいような視線で見つめていた。
自分が何故そんな風に感じるのか、自分でも理解できないままに。
つづく
後書き
うぐぅ（＜時事ネタ・爆笑）
すいません、まだ続きます。つ、次こそ、今度こそ終わりです。
それでは次回、「機動戦艦ナデシコ Digital Fairy Tales 〜in "The blank of 3years"〜」
再会したカイトとイツキ。二人の邂逅はルリの心に何かをもたらす。
そして、カイトの選択は？
彼はいかなる未来を選ぶのか？
第十話 epilogue and 『to The Prince of darkness』
でお会いしましょう。
最後に、この作品を掲載して下さった河田さん、本当にありがとうございました。
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「機動戦艦ナデシコ」はジーベックの作品です。
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