機動戦艦ナデシコ
Digital Fairy Tales
〜in "The blank of 3years”〜
作：たのじ
！注意！
この作品はセガサターン用ゲームソフト「機動戦艦ナデシコ The blank of 3years」のネタばれが一部含まれています。
ゲーム途中の方、これからプレイされる方には、余りお勧めできません。
ごめんなさい_(__;)_
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第三話 彼氏たち彼女たちの『事情』
＜２１９８年１０月某日 快晴＞
半年に及んだ拘留生活もようやくおしまい。私たちナデシコのクルー一同は、晴れて自由の身になった。
聞けば地球と木連の戦争も、休戦という形で一応の決着が付いたらしい。とりあえず一安心、というところなのかな。
仲間達が離ればなれになるのは寂しいけれど、みんなに会おうと思えばいつでも会うことが出来る。それに、行く当ての無かった私のことを、クルーのみんなが心配してくれたときは、少し嬉しかった。
でも、私と一緒に、カイトさんも艦長の家でお世話になることが決まっている、と聞いたときに、一部の人たちが妙な目つきでカイトさんを睨んでいたのはなぜなんだろう？
……とにかく、私とカイトさんは艦長、今はもうユリカさんと呼んでいるけど、の家でお世話になっている……、はずだった。でも、実際にユリカさんの家にいたのはほんの数日。
テンカワさんとの仲をミスマル提督にいろいろ言われて怒ったユリカさんに引き連れられて、私とカイトさんはテンカワさんのアパートに転がり込んだ。
解放された後、テンカワさんはラーメン屋台に専念している。
一方、ユリカさんは軍に残った。
そして、私とカイトさんは、昼間はアルバイトをしたり、ラーメンの仕込みをしているテンカワさんのお手伝いをしている。
そんな私たちは、夜にはみんなでラーメンの屋台を引き、帰ってきたら川の字に寝る。（場所が足りないのでカイトさんは押入の中。ちょっとかわいそうかな……）
四畳半一間に四人、ちょっと狭いけど、それなりに楽しい共同生活……。
ホシノ・ルリ
夕日をバックに、少々音程をはずしたチャルメラの音が響きわたる。
季節はもう秋本番、日の入りも日毎に早くなり、日が沈んでしまえば肌寒さを感じる頃である。
日が落ちきる直前の時間、昼と夜が混ざり合うほんの一瞬、次第に暗くなっていく街の通りを一風変わったラーメンの屋台がやってくる。屋台自体はオーソドックスなものだが、引いている店員が妙に多い。
白衣を着た若い男性が二人、白いエプロンを着た若い女性が一人。そしてかっぽう着を着てチャルメラを持ったまだローティーンの少女が一人。
一ヶ月前にこの街に現れた彼らはいつもの定位置に来ると、屋台を止めて商売を始める。
開店当初は、とびきりの美人が接客しているということで口コミで集まってきたミーハーな客ばかりであった。しかし今では彼女たちを目当てに集まってきた客は消え、この屋台の味を気に入って通ってくるそこそこの数の常連ばかりである。
「ごちそうさまー！ さーて、帰ってお仕事お仕事！」
「ヒカルさん、これからまだ仕事ですか？大変ですね」
今日も閉店間際に現れた彼女のセリフに、カイトが気遣うような声をかける。
元ナデシコクルー、エステバリスのパイロットだったアマノ・ヒカルは、現在プロの漫画家デビューを目指して徹夜続きであった。少女漫画から一転して少年漫画を書き始めたヒカルは、現在プロの壁の前で悪戦苦闘している最中なのである。
「今が大事なときだからね。まずは新人賞を獲得！ そして次はプロデビューよ！」
「頑張ってね、ヒカルちゃん！ 私たちも応援してるから！ よーし、今日はちょっとおまけしてあげちゃおう！」
店員全員が元ナデシコのクルーであるため、和気あいあいといった会話が続く。皆、友人の成功を心から願っているのだ。
「ユリカさん、『今日は』じゃなくて『今日も』ですよ」
「あはははは……」
ルリもシビアなつっこみを入れるが表情は軟らかい。このやりとりを、彼女も楽しんでいるのである。
「いいんだよ、ルリちゃん」
「テンカワさん……」
「ありがとー、アキト君！この恩は忘れないから！ ルリちゃん、いつかデビューしたら、アシさん達をいっぱい引き連れて来てあげるからね！」
「期待しないで待ってます」
「それじゃ、おやすみー！」
『ありがとうございましたー！』『またおこしくださーい！』
最後の客も引き上げ、屋台も撤収の準備にはいる。今日は四人全員が揃っているためそのあたりの手際は早い。明かりの落ちた屋台は、薄明るい街灯の光の中を引き上げていく。
その道すがら、アキトが唐突に切り出した。
「ルリちゃん、カイト、ここ一ヶ月働き詰めだったから、明日の日曜は休みにして映画でも見に行こう」
「いいですねー、何か面白いものやってるんですか？」
早くも休みに気を取られているカイト。働くことを楽しんではいても、ラーメンの屋台を引く、ということにまだ慣れていないため、そこそこ疲れがたまっていたのである。
「テンカワさんの選んだ映画……？」
先の展開を読んでいるらしいルリ。そこに脳天気の一歩手前の明るい声でユリカが続ける。
「なんとゲキ・ガンガー総集編と劇場版の幻の二本立て！ アキトもこれは持ってないんだよね！」
「そうそう！ 楽しみだよなー！」
「へえ、アキトさん、そんなのよく見つけましたね」
カイトもすっかり染められていた。半年の拘留生活の間と、ここ一ヶ月のアキトとユリカの教育のたまものだろう。
「相変わらずですね」
ルリは余り変化がないように見える。だが、このところだんだん表情が豊かになっていっているのが三人には解る。それはほんのわずかな、まだ身近な人間以外には見分けられない程度だが。
口をついて出てくるセリフも今まで通りのどこか突き放した口調だが、表情は拒否していない。
「それじゃ決定！ 明日は映画館にくり出しましょー！」
ユリカが精気に満ちあふれた声で宣言した。
昼間は軍司令部で働き（『お父様が気を使ってるせいでお仕事あんまりないの』とは言っていたが）、それからまたこの時間まで一緒に働いているのに、この元気の差はどこから来るのだろう。そんなことを、カイトは屋台を押しながら考えていた。
エンディングテーマと共にスタッフロールが流れていく。二時間あまりの夢から目を覚まして、現実に戻る時間がやってくる。
映画にしっかりのめり込んでいたカイトは、徐々に明るくなっていく館内で映画の余韻に浸っていた。
「ジャシン大帝か……。手強い相手だったな……」
セリフから察するに、主人公になったつもりで入り込んでいたらしい。
カルトな人気を誇る「ゲキ・ガンガー３」だけあって、場内にはまだ熱心なファンが話しに花を咲かせている。カイトと同じように――むろんアキトも――余韻に浸っている客も少なくない。
そんなカイトの目の前に、隣の席のユリカが一枚の封筒を差し出した。
「ねえねえカイト君、ルリちゃん、これ、読んでみて！」
「はあ、何ですか？」
「手紙……？」
「いいからいいから！」
いつもテンションの高いユリカだが、今日はまた飛びきりである。浮かれている、というべきか。中に入っているのは一枚の手書きとおぼしきカード。内容は……。
「え？」
「結婚式！？」
思わず目を丸くして驚く二人。
「そうなの、いよいよ……ほんとに、いよいよ決まったのよ！ これからみんなに招待状を送るんだけど、二人は特別に一番最初に教えてあげたの！」
「来年の６月１０日……でも、いつの間にここまで決めたんですか？」
ユリカの父、ミスマル・コウイチロウの態度を知っているカイトにしてみれば、ここまで早く結婚が決まったのは奇跡に思えた。それはルリも同じだろう。親子喧嘩の上に家出騒ぎにまで発展したのが嘘のような速さである。
「いや、実はついこの間のことなんだけど……」
アキトは照れているのか、ユリカとは違った意味で顔が紅潮している。だが、二人の顔はどちらも幸せそうにほころんでいる。
「よくミスマル提督が納得しましたね」
「あ、お父様にはまだ言ってないの」
「ええ！？」
「それで、大丈夫なんですか？」
カイトもルリもあきれ顔である。説得にどれだけ時間がかかるのか。下手をすれば一年二年では済まないかもしれない。
「大丈夫、ちゃんと説得するさ」
「そうそう、アキトがどれだけ立派にラーメン屋さんをやってるか解れば、お父様も認めてくれると思うの」
「とにかくおめでとう、アキトさん、ユリカさん！」
「おめでとう……ございます」
映画館からの帰り道、ルリは、自分の中に生まれた、生まれていたけれど気づいていなかった感情に戸惑っていた。
目の前にはアキトとユリカが腕を組んで歩いている。アキトとユリカが並んで前を歩き、その後ろを自分とカイトがついていく。それが、いつもの四人のポジションだった。
人前でべたべたするのをアキトがいやがるため、今までの二人は並んで歩くときにも手をつないだことすらなかった。それが今日は、堂々と腕を組み、微笑みを浮かべて語らいながら歩いている。
「（なんなのかな……。この感じ……）」
胸の奥がざわざわする。
拘留されている時から、自分たち四人は家族になったと思っていた。他のナデシコのクルー達もそうだが、その中でもこの四人でいるときはまた特別だった。
その大切な家族の二人が幸せになろうとしているのだ、祝福するべきだし、祝福したいと思っている。
胸の中でわずかにざわざわと音を立てている感情が何なのか、経験のないルリには、まだ解らなかった。
「ねえねえ、ここ、入ってみようよ！」
アパートに程近い繁華街、最近増え始めたバーャルルームボックスの前で、ユリカがアキトの腕を引っ張っている。
元はといえば、閉鎖環境である宇宙船に乗り組むクルーのストレスを緩和するために開発されたバーチャルルームだったが、娯楽性の高に目を付けられ、こうして一般に普及し始めていた。現在では利用者も増え、年齢層を問わず特にカップルに大人気となっている。
「これはやっぱり、二人ではいるモノなんですか？」
ナデシコのバーチャルルームを知っているルリにしてみれば、そういう認識がある。
「そう、みたい、ね」
実はそんなことはないのだが、そう答えるユリカ。よくよく解りやすい性格をしている。それに気づいたアキトは苦笑いを浮かべていたが、ルリとカイトの二人は素直にそういうものか、と納得していた。
ユリカは目をきらきらと輝かせながら胸にアキトの腕を抱え込み、どんどん奥に引っ張っていく。アキトの顔にはまだ多少の照れがあるが、やはり楽しそうについていく。
「それじゃ、私とアキトは先に入るから！」
「あんまりくっつくなよ」
「いいじゃない！ ほら、このコース、新婚生活だって！ 予行演習しましょ！」
早速仲の良さを発揮してボックスに入っていくアキトとユリカ。後に残されてしまうカイトとルリ。カイトはこういうときに積極的になる性格ではないし、ルリは言わずもがなである。
しばらく待つ覚悟を固めたカイトだったが、一応ルリに確認をとるため話しかけた。
「僕たちはどうしようか」
「入ってみませんか？ このまま待っていてもタイクツですし」
しかし、帰ってきたのは予想外の答えだった。意表をつかれた形のカイトは、ルリの後をついていくようにボックスに入っていった。
まだルリの心はざわついていた。
腕を組むアキトとユリカ、人目のある場所ならばともかく、別に珍しい眺めではないし、今まで特に何も感じたことはなかった。それでも今はざわざわする。こんな状態のまま二人を待つ気分にはなれなかったから、ルリは自分からカイトを誘ってボックスに入った。
のほほんとした様子でその後についてくるカイト。
この人もおかしな人、そうルリは思った。
記憶喪失であるため、自分と共にユリカの世話になって、今ここにいる。一緒にいることが多かったために、ルリにとってはアキトの次に良く知っている男性である。
カイトからは、他のクルー達とは違った感じがする。
アキトとユリカを含めたクルー達は、自分を保護すべき対象と見ている、とルリは感じていた。ナデシコ最年少であった自分の年齢が、そうさせていたことはルリにはよく解っていた。
しかし、カイトは違った。記憶喪失だったからかもしれないが、カイトは自分をクルー達のように保護の対象とはみていない感じがする。感覚的にはユキナから感じるものに近い。自分を保護する者ではなく対等の者としてみている。
これは、自分も保護される立場であるとのカイト自身の認識がルリをそう扱わせているのだが、そこまではルリには解らない。
……なんでなんだろう。
ルリは突然浮かんだその考えに、数瞬気を取られていたらしい。気がつけば、カイトと並んで係員からプログラムコースの説明を受けていた。
「……お客様達にぴったりのコースがございますが、いかがでしょう？ 人気もありますし、お勧めですよ♪」
「ルリちゃん、これで良いかな？」
「別に構いません」
「それではこちらへどーぞ♪」
元気のいい受付嬢の案内に従って、奥の小部屋にはいる。中にはバーチャル・インターフェイスがセットされており、設定用のコンソールが点滅している。
『はい、この部屋のプログラムのコンセプトはズバリ！ ”医師と患者”です！男性の方はお医者様に、女性の方は病気の患者になりきって頂きます。ちなみに一番人気はモード３の”少女と診察室”でして、風邪で病院を訪れた少女がお医者様に問診をされたりいろいろされたりしてしまう、とゆーものです！』
「……何か、犯罪のにおいがしませんか？」
どういう状況かはルリにもおぼろげに想像がつく。目の前のカイトや、アキトがそういう状況を喜ぶような人間とは思わないが、これが一番人気と言うことは、そういうことを喜ぶ人間がどれだけ多いのか、少々引いてしまうルリだった。
カイトもそれはさすがにまずいと察したらしく、他のモードの説明を求めている。
「もう少し大人しい方がいいんですけど」
『もっと大人しめのですと……、モード１の”少女と海辺”でしょうか。これは純愛系のものでして、モード３には及びませんがやはり人気のコースです♪』
「それでお願いします」
『はい！ではインターフェイスを装着して下さい。装着してからコンソールのスタートボタンを押していただくと、プログラムが開始されます♪』
目の前の景色が変わり、初めて見る景色が見えてくる。
次の瞬間、ルリは自分が車椅子に乗って、夕焼けの海辺にいることに気づいた。。
『お客様の役は、”明日をもしれぬ病弱な薄幸の少女”です。長期入院中で外出も許されないあなたを、主治医の方が海につれてきたという状況です。ここから先はお客様次第です。それでは、ごゆっくりお楽しみ下さい』
潮騒の音、磯の香りを含んだ風を感じる。どちらもサセボにはあったものだが今感じている物は少し違う。これが自然のものでないのは解っているのに、より自然らしく感じる。
とりあえず、ルリはこの状況を楽しむことに決めた。
夕焼けの海を見つめながら、柔らかい声で呟く。
「海……、ですね」
「うん、来たこと無いの？」
カイトの演じる主治医も見事にあわせてくる。
「もちろんあります。一回だけですけど……。夏にはここで、泳いだりするんですよね？」
「夏が来たら……、二人でまたここに来よう」
「そうですね。……二人で、それもいいかもしれません」
ルリは少し驚いた。カイトがここまで『らしく』するとは思っていなかった。セリフには感情が込められ、本気かと思ってしまいそうだった。
それならばと、ルリは少し乗ってみることにした。
「夏まで、私が生きていられればいいんですけど……」
「そんな弱気なことは言っちゃダメだ！君は僕が治してみせる！」
ルリはカイトの目を覗き込んだ。完全に本気の目だった。カイトはこういう物に入り込む傾向があるらしい。
『まっすぐな目……。いつかのテンカワさんみたい』
その目の真剣な光に見入ってしまったルリだったが、すぐにくすり、と笑みを漏らした。
「カイトさん、ちょっとなりきりすぎじゃないですが？」
それはカイトも滅多に見たことがない、ルリの楽しげな微笑みだった。
テンカワ家−一応、この部屋の主はアキトであるためこう呼ぶ−の起床の順番はたいてい決まっていた。まず、朝に強いルリが目を覚まし、ユリカを起こす。そしてユリカがアキトを起こし、アキトがカイトを起こす。
しかしここ最近はこのルールが少し変わってきていた。
ルリがユリカを起こす、ここまでは変わらない。その後に、残る二人も起こそうとし始めたのである。
アキトを起こすことは、実行したときにユリカがむくれたのであきらめたが、今ではカイトも起こしている。ユリカを起こすと、ルリはカイトを起こすために押入をあける。
カイトによると、押入の中で寝ていると常に真っ暗でいつ朝が来たのが判らないらしく、放っておくとなかなか起きてこない。だからルリは、押入をあけると、たいていまだ眠りこけているカイトを起こすために一声かけなければならない。
「カイトさん、朝ですよ。起きて下さい」
「もう朝……？」
「おはようございます」
朝の光をバックに押入のふすまの隙間からルリの顔が覗く。ここまでかかって、寝ぼけ眼のカイトがようやく上半身を起こした。
「起こしてくれてありがとう」
「別に、それほどでも」
これも最近始まったやりとりである。この時のルリは、微かに微笑んでいるように見える。
「よしっ、起きようか」
「はい、さっさと起きて下さい」
こうして、カイト達の一日は始まる。昨日と同じ様な平和な一日。
それがいつまで続くのかは誰にも解らない。ただ、時計の針は確実に進んでいた……。
ネルガル会長執務室。
今この部屋の中にいるのはその部屋の主、アカツキ・ナガレとその敏腕秘書、エリナ・キンジョウ・ウォンの二人だけである。広い、静かな部屋に二人の会話だけが響いている。
「エリナ君、例の実験の件、どうなってるの？」
「安全性の問題をクリアするのに後少しかかるかと。ですが、年内には何とかなりそうです」
「残るは被験者の説得だけか。大丈夫なのかい？」
「多少の説得は必要でしょうが、こちらが強く出れば引き受けてくれるでしょう。彼も監視の目があることは知っているはずですし、逃げられはしません」
自信に満ちた声でてきぱきと報告を行うエリナ。どこかおどけた声でアカツキが答える。
「そう、それじゃそっちは任せたよ。後は木連の方だけど……」
「来年の春には話し合いのテーブルを囲むことになりそうです。地球からはミスマル・コウイチロウ提督、木連からは秋山源八郎が代表になるかと」
「ふぅん、じゃ、僕もそれにはお邪魔しようかな。地球にいてもやることないし」
「違うでしょ、落ち目の会長さん！株主や重役連中から逃げるんだ、って素直に言ったら？ 業績悪化の責任をとって退陣しろって、突き上げ喰らってるんでしょう？」
突然口調を変えるエリナ。しかしその内容とは裏腹に顔は笑っている。アカツキも起こった様子はなく、肩をすくめてため息をついた。
「き〜びしいね〜、エリナ君。ま、一時避難といったところだよ……。準備、よろしくね」
「はいはい……。それでは会長、プランは報告の通りでよろしいですね？」
「ああ。実験の方、期待しているよ」
「お任せください」
律動的な足取りでエリナが退出していく。その後ろ姿を眺めながら、アカツキは一人呟いた。
「さて、この不利な状況を覆す鍵になってくれるかな？ 期待してるよ、カイト君」
つづく
後書き
いよいよ本格的に始まったラブコメ編（仮題）。
問題はサターン版をなぞるだけにならないように気を使うこと……。
大丈夫だったでしょうか？
さらに、一応サターン版を知らない方にも読めるものにしよう、と頑張っております。
ところで、アキトとユリカの結婚式の日付ですが、これはサターン版に準拠しています。
それでは次回、「機動戦艦ナデシコ Digital Fairy Tales 〜in "The blank of 3years"〜」
四人での生活は平和のうちに過ぎて行く。
徐々に家族の絆を深める四人。そして距離を縮めるルリとカイト。
だが、そんな彼らの上を時折通り過ぎるネルガルの影。
彼ら四人の平和な生活は、穏やかに続くことを許されないのか。
第四話 『ガール・ミーツ・ボーイ』なその日
でお会いしましょう。
最後に、この作品を掲載して下さった河田さん、本当にありがとうございました。
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「機動戦艦ナデシコ」はジーベックの作品です。
御意見、ご感想はこちら：tanoji@jcom.home.ne.jp
今回、小話はありません。
もし期待してくださっていた方がいらっしゃいましたら、ごめんなさい_(__;)_