機動戦艦ナデシコ
Digital Fairy Tales
〜in "The blank of 3years”〜
作：たのじ
！注意！
この作品はセガサターン用ゲームソフト「機動戦艦ナデシコ The blank of 3years」のネタばれが一部含まれています。
ゲーム途中の方、これからプレイされる方には、余りお勧めできません。
ごめんなさい_(__;)_
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第二話 『新しい』生活
＜２１９８年８月某日 曇り時々晴れ＞
僕がナデシコの一員となり、地球に降り立ってからすでに数ヶ月。現在僕も含めたナデシコのクルーは、アカツキさん以下ネルガルのおえらいさんを除いてサセボシティに拘留中。監視の目はあるけれども比較的自由でそれほどの窮屈さは感じない。
短い時間の筈だけど、僕にはとても忙しい毎日だった。
ナデシコに乗っていたときから、僕が忘れてしまった世界状況やら何やらを勉強し直しているのだけれど、その中に火星遺跡についてのことがあった。何せ僕らが拘留されている原因なのだから、みんなにも聞いてまわっていろいろ調べたが、解ったことは二つだけ。それがボソンジャンプと呼ばれる時空間転移を行うためのコントロール施設だということ、現在もそれを巡って地球連合軍と木連軍がにらみ合っていると言うこと。
……結局、大したことが解るわけでもなかったけれども、僕は毎日調べものに没頭している。他にやることもないし、こうしているとこれから先に対する不安を少しでも忘れていられるから。
それでも、終わりはやってくる。ここから解放され、晴れて自由の身になったとき、過去を無くし、身寄りも解らず、行く当てのない僕はどうすれば良いんだろうか？
カイト
午前七時。アキトがたてる仕込みの音でカイトは目を覚ます。
その場でひとつ伸びをして、本格的に目を覚ますべくタオルを引っかけ洗面所へ向かう。
「おはようございます、アキトさん……」
まだ眠りの妖精が頭の周りを飛び交っているらしく、瞼が今にもくっつきそうな口調で声を絞り出す。
「おはよう、カイト。でもなあ、いつまでも敬語使わなくて良いよ。君はもう立派な俺達の仲間なんだし、見たところ俺と同い年くらいじゃないか。」
「なかなか慣れなくて……。それに先輩に対する礼儀じゃないですか」
この宿舎に入って一週間目から続いている朝の挨拶を交わすと、カイトは洗面所に入った。冷たい水を被って目を覚まし、部屋に戻って支給されたナデシコのパイロット用制服を着る――最初に来ていた木連優人部隊の制服（らしきもの）を着るのはさすがにまずのでしまい込んでいる――と、そのころにはちゃぶ台の上に朝食が並べられ始めている。
コック志望のアキトは、宿舎の中でも師匠とあがめるホウメイの下で修行に励んでいるが、その一環で食事のほとんどを自炊している。同室のカイトはそのおこぼれに預かって、食堂に通う必要もなく三度の飯をアキトに頼っているのだ。
着替えを終えて出ていく前に、カイトはいつもの習慣通りに、一枚の写真をポケットから取り出した。それは何一つ身元を示す物を持っていなかったカイトの、唯一の過去の手がかりとなるものであった。
戦闘宙域からめいっぱい離れた場所での――太陽を挟んで火星軌道の反対側である――木星トカゲとの遭遇。これは結局、コントロールを離れた無人兵器の暴走として片づけられた。
歓迎騒ぎも落ち着き、カイトは現在の状況についてイネスから簡単な説明を受けていた。火星遺跡を巡る戦いの顛末、ナデシコ一同がとった遺跡のコアをナデシコごと宇宙のかなたへ投棄するという手段。自分たちの大切なもの、自分たちの思い出を守るために。
「私たちの居る場所、自分で勝ち取った思い出、ですか……」
「でも、ジャンプするためだからって、キスまでしなくてもいいのに、ねえルリちゃん」
メグミの言葉に微かに俯くルリ。表情に変わりはないが、瞳がわずかに揺れている。
「ルリルリにはちょっと早かったかしら？」
ミナトの一言に一同の表情が和らぐ。共通の思い出を持つ者達から感じる一体感に、カイトはほんの少し、寂しさを感じていた。それを悟ったかのように、軽い音を立てて肩にアキトの手が乗せられる。
「記憶がないからってそう焦ることはないさ。世の中には知らない方がいい過去だってあるんだしさ」
イネスがアキトの言葉を後押しする。
「そうそう、それに記憶なんて案外簡単に戻るものよ。わたしなんか麻雀やってる最中に思い出したんだから」
「ありがとうございます……」
今日はもう何度目か、頭を下げたカイトに暖かい眼差しを向けるアキトの視線が、一点で止まった。
「お、おい、胸のポケットに入ってるもの、何だよ」
「え……」
視線を左胸のポケットに落とす。そこにあったのは一枚の女性の写真だった。長いストレートヘア、前髪は額のあたりで切りそろえてある。こちらに向けて微かに微笑みを浮かべる女性……、いや少女。
「この子は……、あの時の！」
「新入り！」
写真の少女にアキトとリョーコが反応する。周りのクルー達も、驚きを隠せない様子で写真を覗き込む。
「知ってるんですか、この人！？ 誰なんです？ ナデシコのクルーなんですか！？」
思いがけず手に入れた自分の過去への手がかりに興奮し、アキトに詰め寄るカイト。
「ルリちゃん、彼女のデータ調べてみてくれる？」
「はい」
ルリが端末に手をかざすと、ＩＦＳが反応し、検索画面が現れる。ものの数秒で検索は終了し、少女のデータが現れる。
「イツキ・カザマ（風間 樹）、本名同じ……、２１８１年生まれ……、国籍日本。宇宙軍に入隊後、ネルガル火星研究所にパイロットとして配属。その後、ナデシコに転属。カワサキシティにおいて敵木星トカゲ迎撃に出動。戦闘中、敵ボソンジャンプに巻き込まれ殉職……。以上です」
「彼女が僕の過去を知っている……？」
「知っていたんだ、の間違いだと思います」
ルリの冷静な指摘に、興奮気味になっていた頭から熱が引いていく。一転して弱々しい微笑みを浮かべ、写真から視線をはずしてカイトはルリに向き直った。
「そうだね……。ありがとう、ルリちゃん」
「お礼を言われることじゃありません」
常に人から一歩引いた態度をとるルリにしては、それは妙に力の入った口調だった。メグミは、ルリが自分で勝ち取った思い出をとても大切にしていると言っていた。だから過去というものに対して何か秘めるものがあるんだろう……。カイトは漠然と、そう思っていた。
「おーい、そろそろユリカ達が来る頃だから並べるの手伝ってくれー」
「はーい」
物思いに沈んでいたカイトはアキトの声で現実に引き戻された。そう、もうすぐ二人が朝食にやってくる時間だった。
「アーキートー！」
「テンカワさん、カイトさん、おはようございます」
ルリをお供につれたユリカが、いつも通りの時間にやって来た。これはカイトがアキトの料理をごちそうになっているの知ったユリカが、その次の朝から『私もー！』とばかりに三食食べに来ているのである。そして、ついでとばかりにルリを引っ張って来て、
『まるで一家団欒、ってかんじだよね！ ねーアキト！』
とのたまったのである。これもユリカが、未だに周囲から距離を置く傾向があるルリに気を使っている証拠なのだろう。ルリもそれを感じ取っているのか、最初は無理矢理引っ張られてきたはずなのに、今では自分から食事をしにやって来る。
しかしこのセリフを聞いたとき、カイトは考え込んでしまった。
『アキトさんとユリカさんが夫婦、ルリちゃんがその娘、と言いたいんだろうなぁ……。するも、もしかして僕も子供扱いなんだろうか？』
暖かい場の一員として認められた嬉しさはあれど、なにか釈然としないものを感じてしまったカイトだった。
「ごちそうさまー！ やっぱりアキトのご飯はおいしいねー！ ねぇルリちゃん？」
「はい……。ごちそうさまでした」
ナデシコのコックでもあったアキトの料理を堪能し、コックの習性からか、かいがいしく食後のお茶を入れるアキトを眺めつつ、ユリカがいつもの甘えるような口調でいつもの会話を始める。
「ねぇアキト、今日はどうするの？」
「午前中はホウメイさんの所ところで料理の修行、夕方からは親方のところ。いつも通りだよ」
アキトはホウメイのところに通うだけでなく、かつて世話になっていた雪谷食堂にも通っているのである。
「私もそう。毎日毎日会議ばーっかり！ しかもやってることはほとんど同じことばっか。もういい加減、解放してくれても良いのにねー！」
ユリカはナデシコの代表として、ジュンとともに軍との交渉役にあたっている。拘留が解けたあかつきには、軍に戻ることになるのだろう。
「艦長、仕方ありませんよ。まだ地球と木連のにらみ合いは続いてるんです。目の前の問題が忙しくて、私たちのことは後回しなんでしょう」
『解放』、その言葉にカイトは微かな不安を覚える。自由になっても自分には行く場所がない。
「ルリちゃんとカイト君は？ 今日もお勉強会するの？」
「ええ、そのつもりですけど」
「他にすることもありませんから……」
拘留されて以後、カイトは記憶を取り戻すきっかけになるかもしれない、と忘れてしまった地球の情勢、出来事などを頭に詰め込んでいた。ルリの手を借りて各所からデータを引き出し、気になった項目の情報を読みあさる。
オモイカネの助けを受けたルリが引き出せる情報は――ハッキングまがいのこともしているため――質量ともにかなりのものがあり、暇に任せたお勉強とはいえ、カイトはかなりの事情を把握していた。ルリも大抵その傍らで何らかの情報を検索している。オモイカネとのＩＦＳを通した会話を伺うことは出来ないので、何をしているのかはさっぱり解らないのだが。
「それじゃあ私はそろそろ行くね。アキトー、今日はお昼には戻ってくるからねー！」
「ああ、行ってらっしゃい」「……行ってらっしゃい」「行ってらっしゃい、ユリカさん」
ユリカを送り出すと次はアキトが出ていく。『せめてこれくらいは』と申し出たカイトとルリが洗い物をしているのを眺めつつ、専用包丁一式と中華鍋を持参でホウメイの所に向かう。
「それじゃ、後よろしく。俺も昼には一度帰ってくるから」
「ええ、今日も期待してますよ」「行ってらっしゃい」
すでに手慣れた様子で手際よく洗い物を片づけるカイトとルリ。
百八十センチ近い引き締まった体に、おさまりの悪い黒髪と浅黒い肌、鳶色の目のカイト。その隣には百四十センチ強という年齢相応の小柄な体つきに、淡い藤色がかった銀の髪と透けているかのような白い肌、黄水晶の目のルリ。
二人が並んで洗い物をする姿には、似通ったところはまるでないが、仲の良い兄妹のようだった。
「はいおしまい、っと」
カイトがシンクから最後の茶碗を引き上げ、ルリに手渡す。ルリは手早く水気を切り、ふきんで拭いて片づける。
「ご苦労様、ルリちゃん」
「はい」
茶の間に戻った二人は、どこからともなくセイヤが調達してきたちゃぶ台の上で各々の端末を立ち上げる。カイトは一般的なキーボード式、ルリはやはりセイヤ謹製のＩＦＳ対応端末である。端末を通信回線に接続し、準備を整える二人。
「それじゃ、いつも通りにお願いするね」
「はい、オモイカネ、よろしく……」
ＩＦＳインターフェイスを輝かせ、ネルガルのドックに係留中のナデシコの中枢、オモイカネと会話をするルリ。カイトにはその内容を伺うことは出来ないが、ルリの表情が軟らかくなっているのは見て取れる。
「……きました。今日は２１９７年１２月分の地球の情勢に関するニュース、新聞、雑誌記事、その他諸々の情報の項目リストです。そちらの端末にダウンロードします」
「はいはい……っと。ありがと、ルリちゃん」
「どういたしまして」
いつも通りの受け答え。すぐに二人とも自分の端末とにらめっこを開始する。
「（しかしこれ、時々軍の機密らしいものまではいってるんだけど、大丈夫なのかなぁ……）」
もはや慣れっこになってしまったカイトだったが、さすがに不安は無くならない。一度見たものは必ず消去しているのはその現れだろう。
帰ってきたアキトとユリカを交えた四人で昼食をとり、のんびりと『気怠い午後』に浸る頃。この時間にはたいてい客がやってくる。
「テンカワー！ カイトー！ 出てこーい！ この間の雪辱戦やるぞー！」
「やっほー！ 皆さんこんにちわー！」
今日の客はリョーコとユキナという珍しい組み合わせである。それぞれのいつもの相方たちが今日は付き合ってくれなかったらしい。リョーコの言う雪辱戦とは、これまたセイヤ謹製エステバリス・バーチャルシミュレーターのことである。最初の戦闘で見せたカイトの腕に感心したリョーコが挑戦し、見事敗北を喫してしまったのだ。カイトの個人技は、なんと他の五人より頭一つ抜き出ていた。常に戦い続けていた彼女たちの腕は、文句無しにトップエース級なのだが、カイトはそれを全て打ち破ったのである。
一方ユキナは、意外というべきか、ルリと気が合うようである。寡黙気味なルリとお喋りなユキナという組み合わせは、これでバランスがとれているらしく、一緒にいる姿を見かけることも多い。もっとも、お互い同年代の人間が他にいないせいもあるのだろうし、ルリがユキナに合わせているのが実体なのだろう。
アキトとカイトがリョーコに連行され、それをユリカが追いかけ、その後をルリとユキナがついて行く。行き着いた先は、宿舎の一角を無断で改造した、ゲームセンターといった風情の集会場である。整備班が全力を挙げて作った設備のおかげで暇つぶしにはもってこいであり、なんと言っても無料なので暇な人間はたいていここに集まってくる。時にはアカツキやエリナが姿を現すこともあり、今日はそんな日のようである。
シミュレーターで連戦をこなし、今日も勝ち越しで飾って気分良くベンチに腰掛けるカイトの隣にエリナがやって来た。
「どう、カイト君。そろそろ答えは出た？」
「……まだです」
エリナの質問を受けたカイトの表情が微かに歪む。逸らした視線の先にフ、ァンタジー世界をモチーフにした格闘ゲームで対戦しているルリとユキナが目にはいる。ルリはスタイル通りに冷静に、ユキナは多少ヒートアップしている。
『飛燕連脚！』ルリの操る肩まである金髪をなびかせた青い目の少年剣士が、相手に飛びかかる。
『スナイプロアー！』ユキナ操るショートカットの黒髪に濃い茶色の目の少女剣士が、攻撃を素早くかわし、隙を見せた相手に鋭い突きを見舞う。エリナは笑みを浮かべている。相手より優位に立っている者の余裕の笑みだ。
『爪竜連牙斬！』一撃を受けながらも耐えきった少年剣士が続けざまの連続切りを叩き込む。
『アイストーネード！』受けきれずに距離をとった少女剣士は、相手の間合いの外から魔法を放つ。
カイトにはまだ、エリナの申し出を受けるにはためらいがある。確かに自分がとるべき道はこれしかないように思える。だが人体実験まがいのものに協力するとなると恐怖も感じる。やはり今日もまだ返事は出来なかった。
『殺劇っ！舞荒剣っ！』『ブラッディロォーズ！』
少年剣士と少女剣士は、互いに防御を捨てて大技を放つ。少年剣士の炎をまとった嵐のような斬撃と、少女剣士の冷気を帯びた無数の突きが正面から激突する。互いの剣が幾度と無くぶつかり合い、悲鳴を上げる。
「まあいいわ。でも、そろそろ返事をちょうだいね。ここだけの話、もうすぐあなたたちの拘留も解けるわよ」
『皇王天翔翼ー！』深いダメージを受けながらも、決め手を放ったのはルリの操る少年剣士だった。全身から炎が吹き上がり、巨大な鳳凰の姿となって少女剣士に迫る。激突、そして爆発。
『きゃあああー！』『ＹＯＵ ＷＩＮ！』
「きーっ、悔しい！ また負けちゃったー！」
「ユキナさん、攻撃がパターン化しがちです。それじゃ簡単に読まれちゃいますよ」
「うー、まだまだ道は遠いわね。でもいいわねホシノ・ルリ！ いつか必ず勝ってやるわ！びしっ！」
「はい、お待ちしています」
颯爽と立ち去っていくエリナ、俯いているカイト。オーバーアクションをまじえたユキナの宣言を受けつつ、ルリはそんなカイトの姿を眺めていた。そして一言、本人にしか聞こえない程小さな声で呟いた。
「バカね……」
「なあ、カイト。お前、ここを出たらどうするつもりなんだ？」
夕食の前に、ユリカが拘留がもうすぐ解除されることを告げたことを思い出してか、突然アキトがそんなことを問いかけてきた。それに対するカイトの答えは一つしかなかった。ためらいながら、それを三人に告げる。
「行く当てもありませんし……。ネルガルのやっかいになるしか……」
地球に降りてからもうすぐ半年、ネルガルの協力の下でカイトの身元調査も行われたが、現在のところ収穫は無し。未だにカイトは本名すら解らない状態だった。
「ジャンプ実験に協力するつもりですか？」
「うん……。他に道はなさそうだしね」
気が進まない、という空気を漂わせながらカイトは答える。
「……それが嫌なら拒否するべきです」
「ルリちゃん？」
「他人に強制されて無理矢理行動させられるほど嫌なことはありません。カイトさんもそう思っているんでしょう？だったら拒否するべきです。先が見えなくても、行動すれば意外と何とかなるものですよ」
ルリは珍しく饒舌だった。厳しい口調ではあるが、言っていることは至極解りやすいことである。これも、ナデシコクルー達の『自分らしく』を貫くための心構えの一つなのだろう。
考え込んでしまったカイトをアキトとユリカは、思った通り、と視線で会話していた。そしてユリカがおもむろにカイトに向き直り、あっさりと言い放った。
「それじゃあさ、カイト君もルリちゃんと一緒に家に来る？」
「へ？」
突然のユリカのセリフに、間抜けな声で答えてからルリを見つめるカイト。先程の厳しい雰囲気はどこへやら、ルリは平然とお茶をすすりつつ答えた。
「私もどこにも行く当てがありませんから」
「いや、そうじゃなくて……。ユリカさん、いいんですか？ まだ会って間もない僕まで……。それなら、アキトさんも……」
「なーに言ってるの！ 同じナデシコに乗って戦った仲間じゃない！ とりあえず落ち着き先を見つけるまでは私の家で面倒見てあげます！」
まっかせなさい！とばかりににこやかな表情を浮かべるユリカ。アキトもどこか晴れ晴れとした表情をしている。
「俺はここを出たら、ラーメンの屋台を引くんだ。セイヤさんのコネで部屋を探してもらえるから、そこに落ち着いてね」
自分はこの人達に世話になってばかりだ。迷惑をかけるばかりで何も返せない自分。そうは思っても、今は純粋に彼らの親切がありがたかった。だからカイトは、精一杯の感謝をこめて頭を下げた。
「……ありがとうございます」
「これからもよろしく、カイトさん」
「頑張ってね、カイト君！」
「がんばれよ、カイト」
拘留中の宿舎の中での、ある一日の出来事だった。
つづく
後書き
この作品を読んでくださった方々に最大限の感謝を送ります。第二話です。いかがでしたでしょうか？カイトがメインのお話なので、サターン版を知らない人にはほんとに解りにくいかもしれません。
一応、ナデシコファンならば解る、というものにしようと頑張ったのですが……。
読んでくださった皆さん、是非感想を聞かせてください。とくに欠点を指摘してくださる方は大歓迎いたします。
掲示板に一言でもいいですから、よろしくお願いします。
それでは次回、「機動戦艦ナデシコ Digital Fairy Tales 〜in "The blank of 3years"〜」
共同生活を始めたアキト、ユリカ、ルリ、そしてカイト。
ついにある決心を固めたアキトとユリカ。
そして初めて感じた家族の暖かさに、そして初めて感じた感情に戸惑うルリ。この生活は、彼女に何をもたらしたのか？
第三話 彼氏たち彼女たちの『事情』
でお会いしましょう。
最後に、この作品を掲載して下さった河田さん、本当にありがとうございました。
この作品はNetscape Communicator4.75、Netscape6、Internet Explorer5.5で表示を確認しています。
「機動戦艦ナデシコ」はジーベックの作品です。
御意見、ご感想はこちら：tanoji@jcom.home.ne.jp
ぢょっとした小話
ルリとユキナのプレイしていた格闘ゲーム、元ネタはナムコの有名ＲＰＧ「テイルズオブデスティニー」です。解った方は結構ファンですね？（笑）
このくらいのお遊びは笑って見逃してください。