運命の冬から、一年。
彼女のいない、冬木の冬。
永
劫の戦いを駆け抜け、なおも闘争を続けて幾星霜。
そ
れでも駆ける──世界の狭間を、認識の裏側を。
前
へ、前へ。
胸に抱くは誓い。
心を縛るも誓い。
鋼の拳で叩いて砕く。
胸
に抱くは憎悪。
心に燃えるは正しき怒り。
正義の味方に。
──彼女に、恥じない生涯を送るために。
祈りに応える。
──さあ、気にいらないあいつの面を、殴りに行こう。
「よろしい。ならば、ならば幕を開けよう──新たな世界、新たな舞台。そして、新たな英雄の物語を！」
Master
「分かってる。今度こそ、終わらせてやる。──セイバーの決意を、
無駄にはしない」
「冬木の管理人としての、遠坂としての意地もあるしね。ア
インツベルンに目にもの見せてやるわ」
「お
願いです。私はどうなっても構いません。ですから、先輩だけは……！」
「……ふむ。早すぎる。どうにも、納得がいかんが……とはいえ、これは好機。
逃すわけに
もいくまいて」
「な
ぜだ……なぜ私は、あのサーヴァントを恐れている！？ ──い
や、落ち着け。そうだ、私は奴のマスターだ。問題はない、問題はないとも」
「……同じミスは繰り返さない」
「私の名前に何か意味があるのか、衛宮士郎。そんなことより
も、気にすべきことがあるだろう。お前は、機会を得たのだから」
Servant
Rider
「まったく。堕ちた魔術師ってやつは、どこの世界でもろくでもない
奴ばっかりだな、おい。
──良く頑張ったな。心が折れなかった、お前の勝ちだ」
「うむ。汝の祈り、汝の怒り──確かに聞き届けたぞ、小僧。
──されば、問おう。
汝が我らのマスターか？」
Rider
「──はい。お久しぶり、ということになるのでしょうね、サクラ」
「記憶が……継続している？ いえ、そもそも、同じクラスのサー
ヴァントが、二体も召喚されるはずが……」
Caster
「……つくづく、世界というものは意にそぐわぬものだ。そうは思わ
ぬか、エセルドレーダ」
「イエス、マスター。──しかし、マスターが望むのであれば、仮初
めの主など排除いたします」
「いや、構わぬ。星々の輝きから、しばし離れるのも一興であろ
う。……それに、それにだ。この世界には、あの男も現界しているようだ。ならば、挨拶をせねばなるまい？」
「──すべては、マスターの思うがままに」
「ああ、これは失礼した。真名を、伝えるべきなのであろうな。この
世界においては、何ら意味を持たぬ言霊ではあるが。
──いや、それでもこう名乗るが筋か。我が名はマ
スターテリオン。魔道の真理を探究する者なり」
Archer
「──ふむ。つくづく、この時代とは縁があるようだ。喜べ、雑種。お前は、最強の英霊を手に入れたぞ」
Beastmaster
「これは奇妙な。世界と契約をした覚えはないのだが。──まあ
良い、死というものも経験した。次は、根源へと至る道を模索してみるのも悪くはない」
Lancer
「さてと……今度こそ、まともな戦いが出来るって期待して良いんだ
ろうな、マスター？」
Avenger
「馬鹿な……一体、何が起こっ
ている！？」
「自己改造のスキル！？ “この世全ての悪”を食らって、生まれたというのか！」
「……“この世全ての悪”？ ふん……己ひとりの憎しみすら染めら
れずに、なにがこの世全ての悪か」
「……あなたは、いったい……」
「己か？ ────決まっている」
「己は……“復讐者”だ」
Saber
「──投影魔術。私の剣までも複製してみせるとは、見事だった、魔
術師。だが、ここまでだ」
Battle
「ふん。聖書の獣だと？ 魔術師如きが王を気取るなど、万死に値す
る」
「ならば、小さな国を統べた程度で、世界の王と自称する貴公も不遜
であろう」
「はっ！ ほざいたな、雑種！」
「アトラック・ナチャ！」
「──駄目だライダー！ セイバー相手に魔術は……！」
「我が主のマスターならば、我が主も同然！ この身を一時、汝に預
けるぞ、衛宮士郎！」
「メイガス・モード！」
「止めろ、セイバー！ くそ、俺がお前と戦えるわけないだろ！？」
「──ふん。つまらん女に
なったな、セイバー。誇りを失った王など、盗賊にも劣る。騎士王の名を汚す前に、我の掌に落としてやろう」
「ええ、分かってます、姉さん。幸せになろうなんて思うから、罰が
当たったんですよね。わたしが馬鹿でした。どうして、こんな簡単なことに気がつかなかったんだろう。
──皆が不幸になってくれれば、ぜんぶ公平になるじゃないですか。そうすれば私、先輩や姉さんともっと仲良くできます、絶対にっ」
「……なるほど、あの男を召喚するだけのことはある。確かに貴公は
似
ている……しかし、似ているだけだな。虚ろな英雄よ」
「小娘。この妾が認めよう。汝には、怒り狂う権利がある。──だが。その前になぜ、助けを求めんのだ！」
「ふはははははは！ そう、我輩こそが世紀の天才、ドク
タァァァァァァァ・ウェ検閲
「アトランティス・ストライク！」
「投影開始！」
「是──射殺す百頭」
「レムリア・インパクト！」
「ハイパーボリア・ゼロドラ
イブ！」
「無駄だ。この身を滅ぼしたくば、６６６の獣をすべからく殲滅しなければならない。いくら強力な宝具といえど、それを為すのは容易ではないぞ」
「──問題ない」
「なに？」
「１０００にも届かない戦力で、不死など名乗れるはずもない。必要なら、作るだけだ」
「──無限の、剣を」
Ｗeapon
「──私の、剣！？」
「キシュア・ゼルレッチが遺産……無限の魔力を引き出す宝石剣
か！」
「クトゥグア！ イタ
クァ！」
「”約束された──」
「”騎英の──」
「──I am the bone of my sword──」
「──”全て遠き理想郷”──彼女の足掻き、生きた証だ。無限の熱
でも燃やせはしない」
「そうだ、思い出せ。お前の力、お前の本当の力は、この魔道書にあ
るはずだ」
「イタクァ──神弓形態！」
「これがライダーの……大十
字九郎の、本当の宝具……！」
「なるほど……これは良い。これならば、あのデモンベインも問題にしない。最
強のデウス・マキナだ」
「”
魔を断つ勝利の剣”────！」
「”輝くトラペゾヘドロン”──やはりこれが狙いか、邪神め！」
Fate
「見ろ、衛宮士郎。これが、お前の望む”綺麗な生き方”だ」
「──先輩。私は……」
「な
めるんじゃないわよ。邪神だかなんだか知らないけど、売られた喧嘩は必ず買う！」
「……俺はな！ お前らみたいな連中をぶん殴るために、ここにいる
んだよ！」
「侮
るな、下郎！ この身は全て大十字九郎のもの！ 汝如きには、髪の一筋、呪文の欠片とて渡しはせん！」
「お兄ちゃんには……シロウには、指一本触れさせないんだから。私
が残
せるものは、シロウしかない──だから！」
「そう、人間だ！ 人間以外の何に出来る！？ 世界の枠から飛び出
すような真似を！
そうだろう……大十字九郎！」
「士郎！」
「衛宮士郎」
「先輩……」
「お兄ちゃん！」
「マスター！」
「衛
宮！」
「────シロウ！！！」
「──my whole life was " "」
──運命（さだめ）の丘よ
り来たりて──
──誓いし想いを胸に──
──我らは魔を断つ剣を執る──
「汝、無垢なる刃、デモンベイン！」
仮題すら決まらずに我脳内にて絶賛放映中。特に疲労時。